「ネバーランド (集英社文庫)」

 まさしく!

 久々に恩田さんでしたが、かなりヒットしましたね。最初は何が“ネバーランド”なんだ?とか思いつつ読んでましたが(だって、あまりにも悲惨なんだもん(笑))、読み終わったら納得できます。「まさしく!」ネバーランドなのですねえ。

 やっぱり恩田さんは学園モノが良いのかもしれません。でも、「六番目の小夜子 (新潮文庫)」はかなり拍子抜けしたんですけどね(笑)。「木曜組曲 (徳間文庫)」の方がよっぽど面白かったのですが。なんと言いましょうかね。“閉じた世界”がいいのかもしれません。それは単純に「ネバーランド (集英社文庫)」と「木曜組曲 (徳間文庫)」に限った言い方ですけど(笑)。

 ほとんど女の子が出てこないのもいい。男の子だけ4人。他には誰もいない古びた寮での1週間。で、ここに耽美な世界がないのが惜しいくらい(笑)。ちょっとあるけど、それだけじゃあ足りない。いや、別になくていいんですけど。

 “成長物語”とひと言で言ってしまえば言えてしまえます、確かに。でも、高校生の物語で成長しないものはないよね。それよりも、“後にも先にもない大切なこの一瞬”。この4人だからこそ体験できたこの時間。たぶん、誰もが持っている青春時代の宝物。

 そんな、大切な大切な物語でした。