なにげに奥が深そう。

 以前から、京極夏彦がしきりに勧めていたので、手に取ってみました。『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』『マキゾエホリック Case2:大邪神という名の記号東亮太角川スニーカー文庫)です。

 ライトノベルといえば、私の中ではBLと同じような位置づけで考えていたりしたのですが、意外に奥が深いよね。ノリは軽めで、読みやすいんだけど、その世界観は一種独特だし、シリーズともなると、どこに着地点を求めているのか想像できないほど長大だし。ちょっとイメージが変わりました。

 さて、このシリーズですが、私立御伽学園という新学校に1クラスだけ、かーなり“特殊”なクラスがありまして、それが1年乙組。たとえば、勇者や巫女、超能力者に改造人間、ロボット乗りやらその他諸々、いろーんな人種(人じゃないモノもいたりしますが)がいたりします。そこへ、転校生・高浪藍子がやってくるところから、ストーリーが始まるのですが、しょっぱなからすんごい展開。その内容は、ここでは書けません。ぜひ、読んでください(笑)。

 このシリーズは近未来の話で、そこには架空の「生徒監視委員会」なるものが存在します。クラスに1人その委員なるものがいるわけですが、1年乙組にはあまりに優秀すぎる委員長・灘英斗が在籍します。彼の特徴として、というか、やむを得ずそうせざるをえなかったわけですが、クラスの面々を“記号化”する、という癖があります。彼のノートには、クラスメイトが関わった大事件が書き記されているわけですが、電波とか、幻とか、吸血鬼とか、勇者とか、ロボットとか、記号化された人物がしでかした出来事は、簡素に完結に、ともすれば別世界の出来事のように見えたりするわけです。たとえば、

 9月1日午前8時26分、勇者と怪人及び改造人間の争いをロボットにて鎮圧。

みたいな。でも、それが事実。実際に起こったこと(ま、フィクションですけど)。それがストーリーの本筋にどう関わってくるのか、見極める暇がないほど、どとーの展開で持って行かれてしまいます。そして最後に待っているのが、あまりにもあまりにもな結末。

 私が年を取ったせいかもしれませんが(笑)、最近のライトノベルはとくに、読みづらいのですよね。これも読みづらい。薄いくせに、案外時間がかかりましたもの。でも、それを置いておいてもいいくらい、内容は面白い。

 ファンタジーといえばファンタジーですが、ミステリとして読めなくもない。手掛かりを全て提示してくれる本格的な謎解きとまではいえなくても、アクション&サスペンスとはいってもいいでしょう。

 ああ、そう。タイトルを見れば西尾維新のマネっこに見えるかもしれませんが、逆に、西尾維新講談社ノベルスで出ているのだから、これだって、講談社ノベルスから出たっていいような気もする。似てるといえば似てるかもしれないけれども、でもやっぱり別もんでしょう。根底にはミステリ色がありますもん。

 京極夏彦が力を入れて勧める理由は知りませんが(笑)、ただ、面白いことは間違いない。このシリーズは追いかけていくと思います。

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マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』『マキゾエホリック Case2:大邪神という名の記号東亮太角川スニーカー文庫