3月14日〜4月16日分
『北斎の罪』高橋克彦(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)
浮世絵のシリーズしか読んだことがなく、ホラーちっくなものは、なかなか楽しみました。SFも違和感なかったし。読める作品が増えた気がします。
『黒い塔の恐怖 カー短編全集5』ディクスン・カー(創元推理文庫)
↑休日のお供(読了)
評論とかは飛ばしてしまいましたが(笑)。ミステリーでありながら、“恐怖を”あおるのがカーの魅力のような気がします。落とし方が上手いんだよなぁ。
『青空の卵』坂木司(創元推理文庫)
↑旅のお供(読了)。
ずーっと気になっていた作品がやっと文庫になりました(^-^)。人のいい坂木くんの推理はまるで間違っていて、名探偵の鳥井は人嫌い、という凸凹コンビが面白いです。ミステリーといえば間違いなくミステリーですが、それよりも、成長物語、という色が濃いかも。連作短編なのですが、解説にもありましたが、どんどん登場人物が増えていくのが面白い。登場人物が増える=鳥井の人間嫌いが治っていく、という風にも考えられ、そうすると、坂木くんの“存在価値”がなくなっていくような気もするのですが、たぶんその辺を続編でうまーく料理するんだろうな。
『雪のマズルカ』芦原すなお(創元推理文庫)
↑実家のお供(読了)。
『ミミズクとオリーブ』『嫁洗い池』しか読んでなくて、なんとなく、ほんわかした感じのミステリーかと思っていたのですが、とてもハードボイルド。女探偵が主人公ですが、なかなか容赦ない。その潔さがとっても素敵。探偵だから推理もするんだけど、それよりも“力技”のほうが強調されていたりして(笑)。その辺がハードでとても好きです。
『サム・ホーソーンの事件簿 4』エドワード・D・ホック(創元推理文庫)
↑実家のお供(読了)。
そろそろネタ切れになるんじゃないか? という私の不安なんて、まるっきり大きなお世話(笑)。手を変え品を変え、いろんな“不可能犯罪”を持ってきてくれるから、まったくもって飽きません。とくに「革服の男の謎」の謎解きは目から鱗。何より、新しい看護婦が決まってよかったな、と(笑)。
『とんち探偵一休さん 謎解き道中』鯨統一郎(祥伝社文庫)
↑実家のお供(読了)。
鯨さんの長編はハズレ度が高いのですが(笑)、前作『とんち探偵一休さん 金閣寺に密室(ひそかむろ)』はとても素晴らしくて、長編の中では一番のデキだと思ってます。それに続く第2弾。今度は連作短編です。これがまた、本格としてとてもいい。あまりに奇想天外なこともなく、ホントまとも(笑)。しかも謎解きだけでなく、毎回とんちが出てくるのです。それがまた素晴らしい! このシリーズはぜひ、周りにも勧めたい。
『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎(祥伝社文庫)
↑実家のお供(読了)。
『オーデュボンの祈り』以来の伊坂さん。あ、違った。『ラッシュライフ』も読んだんだっけ。『ラッシュライフ』はうーんと唸りましたが、『オーデュボンの祈り』ほどの感動がなかったのは事実。で、本作は前2作ともまったく毛色の違う作品。今度映画化されるそうですが、映画にぴったりかも。なんとなく軽い感じで強盗してしまう4人組のギャングのお話なのですが、これがまた奥が深い。章ごとにそれぞれのキャラクターが語るんだけれども、いろんな思いが交錯していて、しかも、仲間なのに(いろんな意味で)驚く(笑)。なんだか続編があるような、ないような。でも、出たら絶対読む! それほどお気に入り(^-^)。
『陰陽師 太極ノ巻』夢枕獏(文春文庫)
↑実家のお供(読了)。
もうここまでくれば、充分でしょう(笑)。なんとなく最近、中だるみしてきた気がする。悪かないけど、とりたてて良いわけでもない。前作で登場した賀茂保憲が出てこなかったのも残念。
『閉ざされた夏』若竹七海(光文社文庫)
↑実家のお供(読了)。
これでも“コージー”というのでしょうか。これは立派な本格ものだと思うんですけど。ちょっぴり長いかな、という気はしないでもないけど、それにしても、若竹さんらしい“残酷さ”があって、非情だし、決して“ユーモラスな青春ミステリ”ではない気がするんだけどなぁ。まあいいけど。関係ないけど、最近光文社文庫はカバーがマットPPだ。お金かけてる〜(笑)。
『天井男の奇想 倒錯のオブジェ』折原一(文春文庫)
↑休日のお供(読了)。
これまでの折原さんほど“倒錯”してない。結構すんなりと読めちゃったし、悶えなかったし(笑)。そんなに捻ってないよね。これまでのくせで、思わず深読みしずぎてしまいました(笑)。これまでは残り5分の1くらいで説明してもらわないと混乱してたのが、これに関しては、残り5分の1も残しておく必要はなかったかも。真実が分かった時点で終わったほうが衝撃度は高かったかもね。まあ、私が折原ワールドに慣れてしまった、ということも考えられるけれども(笑)。
『レイクサイド』東野圭吾(文春文庫)
↑休日のお供(読了)。
昨年か一昨年に映画になったはず。テレビか何かで予告だけしか見てないけど、映画はもっと暗〜い感じになってたと思うのね。そんなイメージで読み始めたんだけれども、とても東野さんらしくて、好きです。とくに最後! あれが素晴らしいよね。最後のほうまで謎を引っ張るけれども、そこに無理はなくて、真実が分かったあとに、さらに“もう一撃”、っていうのが素敵(笑)。衝撃の種類は違うけれども、『秘密』を思わせる種類の衝撃で、ちょっと感動してしまいました。
『熊の場所』舞城王太郎(講談社文庫)
↑休日のお供(読了)。
随分前の作品だと思うのですが、私が好きな頃の舞城さんらしさが残っていて、とても良かったです。とくに「ピコーン!」が好き。文庫なのにもかかわらず、作品ごとに書体を変えてあるのが画期的だと思った。最近“つくり”に目がいくようになったんだね(笑)。
『おこう紅絵暦』高橋克彦(文春文庫)
↑休日のお供(読了)。
時代もののミステリー。いろいろな人の時代ミステリーを読んできたけれども、それのどれにも当てはまらない、新しいタイプな気がした。といっても、私が読んでいる時代ものが少ない、というのも事実ですが。ミステリーなんだけれども、人情モノとして読んだほうが楽しめるかも。この前に長編の『だましゑ歌麿』があるようなので、読みます。
『K・Nの悲劇』高野和明(講談社文庫)
↑休日のお供(読了)。
なかなか興味深い作品でした。『13階段』と、短編を少ししか読んだことがないのですが、これは純粋なミステリーではなく、なんか“ものすごい”作品(としか言えない^^;)。読むのにとても力が入りました(笑)。終わってみればハッピーエンドなんだけどね。途中がとても壮絶。これを男性が書いた、っていうのもポイント高いかも。
『「神田川」見立て殺人 間暮警部の事件簿』鯨統一郎(小学館文庫)
↑休日のお供(読了)。
読む人が読んだら、ぶん投げるんだろうな(笑)。ありえん! こんな警部がいるわきゃない。まともに読んではいけない作品(笑)。鯨さんらしさを楽しみたいなら、ぜひ勧めるけどね。私は好きですよ! あいや。小学館もマットPPだわ。最近のハヤリなのか?(どうでもいいことだけど(笑))。
『リアルワールド』桐野夏生(集英社文庫)
↑休日のお供(読了)。
イタイ。あまりに痛すぎる。さすが桐野さん。確か、『OUT』以来だったと思う。あれは大人の女性の物語だったけど、今度は大人と子供の中間にいる女の子の物語。若竹さんとはまた種類が違うんだけど、ストレートに痛いところを突いてくるんだなぁ。女の子が隠し持ってる、人に見せたくない部分を、ありのままにさらけ出すから、痛いんだよね。読んでるほうはたまったもんじゃない(笑)。カバー裏には“高校生の心の闇を抉る”とか書いてあるけど、それはまた違うと思うな。別に、よく少年犯罪とかが起こると必ずニュースで言う“心の闇”とは全然違うことだもの。これはフツーにみんなが持ってるものだし。だいたい、こういうものを持ってない人のほうがおかしい。人間って、そういうもんだよ。
『女學校』岩井志麻子(中公文庫)
↑通勤のお供(読了)。
最初は何かと思ったけれども、結局、やっぱりいつもの志麻子ねーさんでした。大正ロマンでも、恐ろしいものができるのね。ちょっと毒は少ないけれども。あら。中公文庫もマットPPなのね。
『イン・ザ・プール』奥田英朗(文春文庫)
↑通勤のお供(読了)。
最初っから伊良部さんってば飛ばしてるのね(笑)。でも、『空中ブランコ』はもっとちゃんとミステリーになっていたような気がする。癒され度も、こっちのほうが低いのかなぁ。しかし、めちゃくちゃ度はかなり高し(笑)。
『脳髄工場』小林泰三(角川ホラー文庫)
↑通勤のお供(読了)。
ホラーなんだけど、というか、ホラーだから、というか。落とし方がむちゃくちゃうまい。“怪異(グロ)”と“論理(ロジック)”の競演――なんてカバー裏には書いてありますが、これはその通りだと思いました。『玩具修理者』を読んだだけだったので、もっとグロいかと思ってたんですけど、グロはエッセンス程度。それよりも、ストーリーとしての評価が高いです。きっと追いかけるんじゃないかな。
『緋色の囁き』綾辻行人(祥伝社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
書影は講談社文庫です。ホラーっぽく見せかけておいて、その実、中身は本格でしょ? ってな感じの、綾辻お得意のジャンル(?)です。『殺人鬼』のように、ああいう書き方をされると、もっと何かあるように思ってしまったのですが、まあ、そこにはとりたてて何かがあったわけではなく。一応伏線にはなっているけど、そんな重要なものではなかったね、アレは。
『風が吹いたら桶屋がもうかる』井上夢人(集英社文庫)
↑休日のお供(読了)。
これはミステリーなのか!? いかにも本格ちっくな謎解きをするんだけれども、それがまったく当たらない(笑)。要は、そこに重きを置いているわけではないのですね。超能力モノといえばそうかもしれないけれども、本作で登場するチカラはむちゃくちゃしょぼい(笑)。でも、そこがまた重要だったりするから、井上夢人はあなどれない(何)。謎解きになっていないミステリーとでも言おうか、これまた奥が深いんだなぁ。
『消えた巨人軍(ジャイアンツ) 左文字進探偵事務所』西村京太郎(徳間文庫)
↑通勤のお供(読了)。
左文字モノは初めて読んだけれども、左文字さんってば瞳の青いハーフだったのね。どうも、私の中では左文字=水谷豊なので、イメージが狂う(笑)。しかも、ドラマではアメリカで習得したの特殊メイクを生かすじゃない。そんなことはどこにも出てきやしない(笑)。それは置いといて。中身はとっても面白かったです。巨人軍の選手37名を誘拐するという、これまでにないスケールの誘拐もの。謎解きは案外普通だけれど(笑)、ドラマとは違う左文字は魅力的です。
『ワイングラスは殺意に満ちて』黒崎緑(文春文庫)
↑通勤のお供(読了)。
解説の有栖川有栖に惹かれて読んだ(笑)。加納朋子の『魔法飛行』ほどの名解説とまではいわないけれども、アリスが勧めるなら、読まなきゃ、と思わせるところがすごい(笑)。『しゃべくり探偵』の印象が強烈なので、それと比べるとむちゃくちゃ普通な作品ですが、謎解きはなかなか楽しめました。
『からくり人形は五度笑う』司凍季(講談社文庫)
↑通勤のお供。
読んでます。初・司さんです。以前から読みたかったんだけど、なかなか手にはいらず、西部の古書フェアで見つけました。また途中ですが、とっても本格な雰囲気。ようやく探偵役が登場したところなので、これからが楽しみです。