やっぱり宮部はすごかった。

 ついでに、もう1つ、読書ネタを。

ブレイブ・ストーリー』読みました。アニメ映画になる、というので、読んでみたかったんですよ。ようやく文庫落ちしたので、読みました。が、上中下3巻(笑)。でも、そんなに苦しい思いはしませんでした。

 宮部は本人も言ってますが、とってもゲーム好き。そんな、ゲームのような世界を描いたファンタジーなのですが、そこは宮部。ゲームのことなんか全く知らない人だって、充分楽しめる作品に仕上がってますとも。

 何よりも、やっぱり宮部の描く少年ってのはいい。

 この作品はこれに尽きるんじゃなかろうかね。“幻界(ヴィジョン)”へ出かけることになったワタル。基本的に、彼の成長物語であることは間違いないのだけれども、それが大人が読んでも楽しいってのは、どういうことか。やさしくて分かりやすい言葉で書かれてあるだけでなく、その心の動きを描くのがやっぱりうまいんだろうな。大人だって子供だって、思っていることに大差はないのさ、結局。そういうことに気付かせてくれる、というのが、宮部作品なんじゃないかと。これを読みながら、私は『理由』とか『模倣犯』とかを思い出しましたもの。表現の方法は違っても、言いたいことは同じ。痛い思いをした人がいると、痛い思いをさせた人が必ずいる。その両方に、それぞれの“想い”がある。できることなら、誰もがつらい思いをしなくてすむほうがいいに決まってる。でも、世の中そんなにうまくはいかないから、せめてお互いを思いやる気持ちがあれば、もっともっと、いい世の中になるんじゃないかな。なんて思ってしまいました(笑)。

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ブレイブ・ストーリー(上)(中)(下)宮部みゆき(角川文庫)