2月17〜3月13日分

オンライン書店ビーケーワン:緋友禅緋友禅 旗師・冬狐堂北森鴻(文春文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 闘うお姉さん(笑)。おとなしく自分の商売だけをしていればいいのに、性分なんだろうねえ(笑)。事件とか、陰謀とか、何かよくない香りを嗅ぐとすぐに首を突っ込みます、陶子さん(^^;)。骨董というものには、人の欲望や陰謀、激しい思いなどがたくさんこめられているので、自然とそれを扱う人も、ある種そういうモノに敏感になっているのでしょう。確かに、骨董やロマンだけれども、ひとつ間違うととても痛い。けれど、敢えて痛い思いをしようとする冬狐堂を、もう、誰も止められないんだな(しみじみ)。

オンライン書店ビーケーワン:Killer XKiller X黒田研二×二階堂黎人光文社文庫
↑通勤のお供(読了)。
 これぞ本格! 本格はかくあるべき、という見本だね。いわゆる、雪山の山荘に閉じ込められた数人が、次々と殺されていく。そして、殺人事件の傍らには、常に「Killer X」のキャラクターが…。それに道内で起こる突き落とし魔事件がうまくからんで、雰囲気は満点。「必ずどこかに落とし穴がある!」と思って読み進むのですが、見事に穴に落っこちます(笑)。この“騙された”感がたまらなく良いのですよ。ネタは二階堂、文章はクロケンとみた(笑)。

オンライン書店ビーケーワン:赤(ルージュ)・黒(ノワール)赤(ルージュ)・黒(ノワール) 池袋ウエストゲートパーク外伝石田衣良(文春文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 勝手に短編集だと思っていたのですが、長編でした。IWGP初の長編ではないでしょうか(笑)。今回、マコトは登場しません。噂だけ出てきますが。主人公はカジノ賭博にはまって身動きできなくなった映像ディレクター。そこにサルがからんできて、とてつもない犯罪に巻き込まれていきます。登場人物たちが痛い目を見ることばかりを想像しながら読み進んでしまうのですが、そこは石田さん。本編同様、ちょっと甘めに物語が紡がれていきます。そこに救われるんだよね。以前、石田さんのすべてがハッピーエンドのラブストーリー短編集読んだのですが、それと同様の“幸福感”を味わうことができます(^-^)。人間も捨てたもんじゃない、と思わせてくれる作品でした。

・『三日間の悪夢仁木悦子(角川文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 ノンシリーズの短編集。とはいっても、結婚後の悦子が1作だけ出てきます。やっぱり仁木悦子は何を読んでも良い。収録作品にはミステリーではないものも含まれますが、それがまた良い。たいていは、救いを残してくれているのですが、このミステリーではない作品は、救われない。そこがまたいい、切な過ぎて。こういう作品も書くんだ、と新たな一面を見ました。

オンライン書店ビーケーワン:凍るタナトス凍るタナトス柄刀一(文春文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 柄刀さんにしては、あまり優しくない作品ですね。『3000年の密室』や『4000年のアリバイ回廊』、『400年の遺言 死の庭園の死』など、歴史とロマンをうまくからめた作品がとっても好きなのですが、これは『ifの迷宮』同様、近未来のお話。柄刀さんが描くと、SFちっくな内容もとても分かりやすくて助かるのですが、私が求めているものとはちょっと違う(笑)。優しさよりも、やるせなさがとても強い。救われるような、救われないような。結局、救われていないんですけど。まあでも、柄刀さんだから、それもありかな(笑)。

オンライン書店ビーケーワン:貴族探偵エドワード貴族探偵エドワード 銀の瞳が映すもの椹野道流角川ビーンズ文庫
↑通勤のお供。
 ミステリーというか、BLというか、ライトのベルというか。どこかに属していそうで、どこにも属していないかも。椹野さん独特の優しさと不思議さが混在した、ステキな作品です。探偵だから、基本的にミステリーですが、ちょっとファンタジーも混じっている感じ。そして、これが発展していくと、きっとBLにもなる(笑)。続くようなので、追いかけてみます。

オンライン書店ビーケーワン:図書館の美女図書館の美女』ジェフ・アボット(ハヤカワミステリー文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 これはもしや、コージーなのではないかと。コージーミステリーとは、田舎で起こるどたばたミステリーだと解釈しているのですが(笑)、本格ではないし、サスペンスでもないし、でも、ちょっとアクションなんかもあって、盛りだくさん(笑)。前作よりは素直に楽しめました。

オンライン書店ビーケーワン:戻り川心中戻り川心中連城三紀彦講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 書影は光文社文庫ですが、私は講談社文庫版を読みました。前々から良いと言われ続けて、やっと読めました。やっぱりいい。かなりいい。峻烈というか、壮絶というか。基本的にミステリーなんですが、解説にもあるように、動機に重心を置いて描かれているところが一般的なミステリーとはちょっと違うところ。ミステリーの枠の中だけでは収まりません。収録されているのは、“花葬シリーズ”と銘打たれた7編の中の5編です。登場人物の死や悲劇的宿命を花が象徴し、暗く、妖しく、そして美しく描かれています。この“美しさ”はほかに見たことがない。最初はなんだか物足りない気分になるのですが、最後の「戻り川心中」で一気に引きこまれ、作中で死んだ苑田岳葉とともに、奈落の底に突き落とされます。その“動機”が判明したときの衝撃といったら! 『戻り川心中』とともに読めといわれる『運命の八分休符』とはちょっと比べ物になりません。

・『漱石と倫敦ミイラ殺人事件島田荘司集英社文庫
↑通勤のお供(読了)。
 ワトソンの未発表の手記が発見された、というお馴染みのホームズ・パスシーシュの形式を取った、島荘にしては珍しい作品なのではないかと。「6つのナポレオン事件」と同じ時期に夏目漱石が倫敦に留学。同じ場所にいて、出会わないわけがない! ということから書かれたと思われます。ワトソンの記述部分と、夏目漱石の記述部分とで構成され、ホームズの描かれ方が180度違うのが面白い(笑)。漱石の記述の中では、ホームズは単なるビョーキですから(笑)。しかしながら、ワトソン記述の部分は、まるっきりドイルのホームズのような趣。そして、漱石が描くその異常なホームズですら、御手洗を彷彿とさせます(笑)。さすが島荘。でも、読んでいると鯨さんの雰囲気を漂います(笑)。内容は、ある程度、読みながら予測できるトリックが使われているのがちょっと意外。御手洗じゃないと解決できないくらいの摩訶不思議な謎を期待していたのですが、案外正統(笑)。しかしながら、解決方法がまるっきりホームズ! いやー、堪能させていただきました(^-^)。

オンライン書店ビーケーワン:壺中の天 3壺中の天 鬼籍通覧3椹野道流講談社X文庫)
↑通勤のお供(読了)。
 法医学教室の面々+筧に、新たに兵庫県の監察医龍村が加わり、キャラクターがより魅力的になりました(^-^)。一応ミステリーですが、ちょっとファンタジーが入ってます。しかし、舞台は法医学教室。腐乱死体の解剖シーンを読みながら昼食をいただきました(笑)。それは、コーンウェルの『検屍官』シリーズで慣れてるから全然平気さ(笑)。前作に引き続き、今回もやるせない事件に巻き込まれる面々。伊月×筧のシーンが少なかったのが、ちょっと残念(笑)。でも、もしかしたらシリーズ中いちばんミステリーっぽかったかも。

・『北斎の罪高橋克彦講談社文庫)
↑通勤のお供。
 読み始めました。浮世絵のシリーズ+奇伝、SF、ホラーなど、いろいろ集めた短編集。うち1作はすでに読んでましたが、短い中にも壮大なスケールのお話が盛り込まれていたり、人間ドラマがあったり、浮世絵の謎に迫ったり、盛りだくさん。奇伝、SF、ホラーは未読なので楽しみです。