『赤の神紋 第九章』

オンライン書店ビーケーワン:赤の神紋 第9章

 久々に読みました、『赤の神紋』。およそ1年ほど積みましたか(笑)。その原因の一つは『炎の蜃気楼』かも。終焉に向けてどとーのような展開になってましたし、最後3冊くらいは短期間で出ましたからね。世界的にも、『炎の蜃気楼』の方が好きかも(^-^)。

 前作(第八章)が、というよりも、始まって間もないころからすでに、かなりディープなお話で(^^;)。それでもついていけてたのは、若かったから(笑)。この年齢になると、ああいう濃い〜ぃ話は読んでて疲れるんだ(笑)。そういう理由もあって、少し時間を置いていたのだけれども。

 ストーリーはだいたい憶えていたので、何の問題もなく、スムーズに作品世界に入れました。しかも、意外にもライトな感じで進んでいってくれているので(笑)、楽しめてます。ケイと響生の関係が、一歩進んだような気もしますし。でもこれが、何かの前兆だったりするんだろうな(^^;)。ずーっと桑原さんの作品を読んでいると、ひねくれた考え方、、、いや、心の準備(笑)をするようになります。

 えーと、簡単にストーリーを説明しますと、ハイバラ憂月という魔物、いや、天才劇作家で演出家でもある、超人がいまして。同時代を生きてきた作家・連城響生は、最初はいいように影響されたのですが、次第に“泥沼”へとハマっていきます。ハイバラに傾倒した心のままで書き上げた作品は、“ハイバラ憂月を模倣した”として、世間や業界から手痛い制裁を受けたのでした。それを支えたのは、学生時代からの親友で、自身で劇団も主宰する奥田一聖。響生のリハビリのために、劇作家としての道を示したのも彼。そんな親友のおかげで、ハイバラを心の奥底にしまい込むことに成功したかにみえた響生でしたが、奈良でケイに出会ったことからまた歯車が狂い始めるのでした。

 ここまでが1作目の内容、というか、このストーリーの大まかな概要ってところ。響生に触発されて役者になったケイはケイで、舞台に上がると魔物になるし。クールな顔して、響生がいちばん激しいし。でも、誰も、そして何もベールを脱いでいない(これでも(笑))。もう9作目なのに。まあ、『炎の蜃気楼』は全40巻(プラス別冊がいくつか)だったから、まあ、想像できなかったわけではないにしても、やっぱ長いんだろうな(^^;)。

 ただ、こういうライトノベルにもメリットがありまして。前作の『炎の蜃気楼』は、年代なんかは別にして、戦国武将についてよく知ることができました。そこから派生して、戦国時代に興味を持てたってのは、大きなことだよ。実は高校時代、日本史を選択していたにもかかわらず、戦国時代以降が苦手で(笑)、子供のころにこの作品に出会っていたら、もっと歴史が面白くなったかもしれませんね。それだけに留まらず、仏教や、後半では日本神道についても詳しくなれます。こっちの方はもともと興味のあったことなので、思う存分楽しみました(^-^)。

 そして、この『赤の神紋』ですが、こちらは演劇の世界について知ることができます。田舎育ちの私は、ほんっとに演劇には縁がなくて、未だに1度きりしか舞台は見たことがないのです*1。だから余計になのかもしれませんが、『赤の神紋』を読むにつけ、演劇心がそそられます(何)。というか、一度生でケイを見たい(無理だから)。

 や。まあ、そんな感じで楽しんでます(笑)。

*1:『覗き小平次』でした。