念願の!

 「文庫版・怪盗ルパン(全20巻セット)」ルブラン原作・南洋一郎文(ポプラ社

 美しいboxに入って届きました。嬉しい。嬉しすぎ(感涙)。もうこればっかりは、誰がなんと言おうとも(誰も何も言わないけどさ)譲れない私の原点。

 これにハマったのは、小学校高学年のころ。当時はハードカバーで全33巻(確か)*1。順番も随分違うし、見覚えのないタイトルもあるし。それでもいいんです、中身は同じだから。

 大人になって、随分、いろんな出版社の「奇巌城」(当時の第1巻)を読み比べてみたんですけど、昔のあのわくわく感が味わえなかった。単に、自分が大人になってしまったからなのかと、寂しく思ったこともありました*2。今思うに、原因は訳者なんでしょうね。いちばん合わないのが、堀口大學(あ、言っちゃった(笑))。表現が古いし、文章が美しくない。ルパンが自分のことを「わし」と言っていたのが、いちばんショックでしたねえ。

 最近、逢坂剛の「奇巌城 (講談社文庫)」を読みまして、とても読みやすかったのです。これは、講談社の「痛快世界の冒険文学」という全24巻のシリーズの中の1つで、さまざまな作家がいろんな物語を小学生向けにアレンジしているもの(だと思うんですけど)。だから読みやすいのは当然なんですね。でもやっぱり、なんか違う(笑)。

 その解説にもあったんですけど、もともと原作者であるモーリス・ルブランが文章が上手くなかったんだそうですよ(笑)。それを訳すと、やっぱり面白くない文章になってしまうようです。それならば、どうして子供の頃に読んだルパンはあんなに面白かったのか*3。それは南洋一郎のおかげなのですねえ。

 シャーロック・ホームズの物語は全世界で愛されているけれども、アルセーヌ・ルパンの物語は、本国フランスと日本くらいしかはやっていないんだそうです。先にも書きました通り、まず、ルブランの文章が上手くないというのが理由らしいです。なのに、日本では、南洋一郎という人を介して出版されたので、とても面白い物語になったんですね。もともと、南洋一郎は冒険小説を書いていた作家だそうで、面白い作品がたくさんあるようです。ま、そんなことも最近知ったんですけど。

 やっぱり、当時読んでいたのと同じものを読まなきゃ。ということで、いろいろ探してみたのですが、現在出ているシリーズは、リニューアルされ、全20巻にまとめられておりました。でも、ハードカバーしかなく、迷っていたのですが、遂に出たのですよ、文庫版がっ。

 文庫といっても、かなり大きいんですけど(笑)。カバーのイラストはハードカバーと同じもののようですね。あのサイズがそのまま縮小されて、ハードではなくソフトカバーになった感じ。文庫っていうから、もっとコンパクトだと思ってたのに、あんなに大きいんだったら、いっそのことやっぱりハードカバーを揃えた方が良かったんじゃないか、とか思ったり思わなかったり(^^;)。でもでも、箱入りってのはポイント高いよね。

 たぶん、読もうと思えば一気に読めてしまう気がします(笑)。でも、もったいないので、大切に読んでいきます(^-^)。いやー、ホントに嬉しい。

*1:しかも、30巻を越えたあたりでルブランが亡くなってしまい、その遺志を継いだという友人の作家が続きを書いていたと記憶しております。ルブランは白人でしたが、その“ア”のつく友人は黒人だったと、解説に書かれていたと思うのですが。

*2:まあ、その代わり、違う物語でたくさん楽しい思いもしましたけどね(笑)。

*3:学校からいちばん遠い学区に住んでいたので、長い道のりを歩いて通っていたのですが、手にまめをつくりながらあのハードカバーを持ち歩かずにはいられなかったほど、のめりこんでたんですよね。