うしし(牛ではなく)。

 映画『姑獲鳥の夏』を見てきました。

 映画館、4年ぶりくらいでしょうか(笑)。しかも1人で。いや、1人で映画は絶対無理、とかいう人がいらっしゃいますが、私の場合、私の趣味に賛同してくれる人を探すのが無理だから(^^;)。前の会社では映画館とお付き合いがあり、試写会や招待状などをいただいていたので、1人で行ったり、友達を誘ったりしてよく出かけてたんですけどね。でも当時でも、私の本当に見たい映画に一緒に行ってくれる人はおらず(笑)、1人で行くか、諦めていた方が多かったかもしれません。

 いやね、昔っから人が多いところが苦手で。えーと、街中とかに人が多いのは別にいいんだけど、同じ目的の人がたくさんいるところとか(遊園地とか映画館とか)、人気のお店に行列して待つってことが嫌いだったのですね。だから、どんなに見たい映画でも、人が多いと行けなかったのです。

 以前、たまたま祝日だった水曜日に朝からシネコンで映画をハシゴしようと画策したことがあったんですね。そのとき、とても見たかったのが『スプリガン』。そして、その日から公開の『スピーシーズ 種の起源』は当時のバイト先で話題になった作品で、先に原作を読んでいたので、ぜひ見てみたかったのでした。水曜日だし、初日だし、混んでるとヤだな。でも、今日を逃すとチャンスはないだろうしな。などと思っていたのはすべて杞憂。ほぼ貸し切り状態で楽しめたのでした(笑)。つくづく、同類は少ないんだなあと実感したり(^^;)。

 そんなことを思い出しつつ、行ってきました『姑獲鳥の夏』です。やっぱり水曜日の夜だけに、女性だらけ。タイミングよく早く並ぶことができたので、なかなか良い席で鑑賞できました(^-^)。なにより、座り心地が良かったのです*1

 さて、内容ですが、ここまで引き伸ばせばあらかた予想もつこうというもの(笑)。まあ、あれだけ厚い内容を2時間に纏めたら、こんな感じなんだろうな、というのが率直な感想。なんかねえ、あのエピソードを抜かしてくれるなよ、とか、そろそろこのセリフが出てこなきゃいけない場面だぞ、とか、変に心配している自分を発見(^^;)。客観的に見られないのね(笑)。不思議な感覚でした。

 宮部原作の某作品のように、ちゃぶ台をひっくり返すようなこともなく、『大誘拐』のように単純に作品を楽しめたというような感じでもなく、子供の発表をどきどきしながら見守る親の心境(何)。自分の、京極作品への愛を感じました(笑)。

 いちばん心配してたのは、実はキャスティングだったのですね。堤真一はないだろー、と。それがですね、始まってみるとこれがなかなかいい感じ(^-^)。初っぱなから、古書店京極堂”で蘊蓄を披露するわけなのですが、ちょっと棒読みちっくなところはありましたが(笑)、ああ、京極堂ってこういう人なんだ、と、すんなり納得できたりして。関口くんだって、かなり鬱なイメージしかなかったのですが(笑)、生身の関口くんはこうなんだろうな、と、京極堂同様違和感はまったくありませんでした。

 しかーし。逆に、ちょっと期待をしていた榎木津がフツーの人すぎてつまんなかった。“探偵・榎木津”というキャラクターというよりも、ただ単に“視える人”という位置づけだったんだなあ、と。これはアレですよ、改めて『百器徒然袋』のシリーズを映画化してもらわないと(笑)。エノさんにはそっちで思う存分暴れてほしいものです(^-^)。キャスティングで最初っからぴったりだと思っていた宮迫・木場修。これがいちばん良かったです、やっぱり。普段バリバリの大阪弁なのに、べらんめえ口調も違和感なく、似合っていたし。宮迫には、役者の仕事をもっとしてもらいたいなあ。

 キャスティングといえば、あーた。忘れちゃいけません、彼を。原作者を。いや、出たがりなのはしってましたが、こういう形でここに出てくるんですか、あなたは。誰もくすりともいわない中、笑いを堪えるのが大変でした。出てくるたんびに笑えました。しかも、エンディングロールで再びびっくり。ああ、まったく。楽しんでいるなあ(^^;)。これは『妖怪大戦争』だって見なきゃいけないじゃないか。

 そうそう。キャスティングでもう一つ。中禅寺敦子役の田中麗奈京極堂と関口くんに食事を作ってあげるシーンがあるのですが、ちゃぶ台についておみそ汁を飲むシーンでは、つい樹木希林を探してしまいました(笑)。自然に頭の中ではあのCMのBGMが流れたりしてね。これも笑いを堪えるのが大変でした、と。あと、ちらっと見かけた意見ですが、あの役を原田知世ではなく篠原涼子にやらせてみたかった、というのに私も賛成です(^-^)。原田知世はキレイだけれども、ちょっとばかし色気が足りなかったかも。

 ただねえ、わざわざ映画館で見なくてもよかったかも(笑)。まあ、最初から分かってはいたんですけどね、アクションじゃないし、ホラーでもないし。迫力ある映像を期待していたわけではなかったので。でも、さすが実相寺監督。いや、なにがさすがなのか、ウルトラマンシリーズとか見てないので分からないのですが(^^;)。ああいう演出、賛否両論あるようですが、私は楽しみました。基本的に私、京極堂シリーズはギャグだと思っているので、全体的にやる気のない堤・京極堂とか、「うー」とか「あー」すら発しなかった永瀬・関口(極端にセリフが少なかったよね(笑))とか、うわー、やられたなーって思いましたもん(^-^)。もちろん、例のシーンも含めて(くすくす)。

*1:テアトル池袋。スクリーンは1つで、座席も162席とこぢんまりしているのですが、だから返っていいのかも。係の人は人当たりがいいし、館内もキレイだし。こういうところだと通いたくなります。