「怪盗紳士 怪盗紳士 怪盗ルパン 文庫版第1巻」

 やっと読むことができました。文庫版・怪盗ルパン全集の中の1冊。やっぱりA型ですからね(笑)、順番通りに読まなきゃ。

 私の記憶では、昔の全集は「奇巌城 (シリーズ怪盗ルパン)」が第1巻だったのです。でも、全集の順番も本来の発行順にしたという説明が巻末にありました。とすると、いきなりルパン、捕まってしまうんですね(笑)。こんなところからこのシリーズが始まったのって、意外というか大胆というか…。そもそも、最初からシリーズ化される予定ではなかったそうですね。「何か冒険小説を」との注文に合わせた書いた短編が評判になったので、続けて書いた、ということがあったようです。

 それで、そのシリーズ誕生となった最初の短編5編に、少年の話を加えたのが「怪盗紳士 怪盗紳士 怪盗ルパン 文庫版第1巻」。ルパンが怪盗紳士たる所以がしっかりここで披露されておりました。

 そして、再発見。このシリーズは単なる冒険小説ではないのですね。ミステリーの要素がふんだんに盛り込まれ、しかも主人公は怪盗であるルパンなので、“倒叙もの”ともいえるのですが、しかしルパンは変装の名人で、騙すことにかけては天才的、となると“叙述トリック”を使っているともいえるわけです。でも内容によっては、本格だったりもする。本作の中にも密室トリックが出てきましすね*1。しかも、間違いなくキャラクターもの(ヒーローものといってもいい)でもある。

 ね。むちゃくちゃおいしいシリーズだと思いませんか。

*1:といっても、まあ微妙なところですが(笑)。