「終戦のローレライ(1) (講談社文庫)」

 3月5日、映画「ローレライ」が公開されます。原作は福井晴敏の「終戦のローレライ」。文庫で全4巻。ようやくそろいました。遅いよ(笑)。で、早速読み始めたのですが、やっぱ面白いねー。

 すでに文庫になっていた「亡国のイージス」を先に読んでしまったのですが、私にとて、いくら話題だからといっても、軽々しく手を出せるような雰囲気の作品ではなかったのですね、実は。だって、戦争モノだし。キライじゃないけど、映像で見られる映画とは違って、ちゃんと活字で理解しないといけない、というのはなかなか驚異だったりするんです。硬そうだし、難しそうだし。読もうかな、どうしようかな、と悩んでいるときに、偶然福井さんの短編に出会ったのです。「殺人作法―ミステリー傑作選〈45〉 (講談社文庫)」収録の「五年目の夜」。これがお腹を抱えて笑うほど面白かった!

 内容としては、元諜報機関で働いていた男が、退職後5年でようやくその機関から解放されるというその前夜の出来事。なんというか、テロだったり北だったりが絡んでいて、それだけでなんとなく敬遠しそうになるんだけど、でも、まずなんといっても読みやすいってのばポイント。とても読みやすい文章で、すんなり頭に入ってくるから、そのシチュエーションから置かれた立場、どういうシステムかといったことまで、よく理解できる。さらに、物語の世界にどっぷりつかって読んでいると、信じられないくらい面白い場面に遭遇するんですよね。一瞬拍子抜けするんですけど、そこが電車の中であることすら忘れて、思わず声を出して笑いそうになったほど。最後に落ちまでついているので、とても楽しく読みました。

 で、この人が書いた作品なら読めるゾ。と思いましたねえ。それで比較的早い段階で「亡国のイージス」(上下巻)に取りかかったわけです。もちろん、とても良い作品でした。お腹抱えて笑うよなところはなかったけれども、でも泣きそうになったところはいっぱいあった。キャストが豪華だし、撮影もすごかったらしいので、映画の方も期待してます。

 そういった流れがあって(笑)、やっと「終戦のローレライ」ですよ。文庫ですが全4巻というと、私にとっては「屍鬼小野不由美の次に長い*1。ちょっと覚悟を決めて取りかかったわけですが、そんなに気負うほどもなかったねえ。まだ“序章”なんですけどね。ちなみに薄い第1巻は「序章」と「第1章」のみ…どんだけ長い作品やねん(^^;)。“序章”すら終わってないんですけどね(笑)、でも、いい。もうはなっからいいんですよ。これだと週末には読んでしまえそうな気もします(が、明言は避けよう)。

*1:ちなみに「屍鬼」は最初2巻しかなかったので、気軽に買ってしまって、後になって全5巻であると知るわけですが、もう後の祭りだよねえ。