6月13日〜25日分
『被害者は誰?』貫井徳郎(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
帯に“超美形で超天才”ってあるんですけど、絵がないから確かめようがないじゃないですか(笑)。超美形でも、正確悪すぎー、吉祥院慶彦。最初から超美形っていわれてても、御手洗潔とか、桜井京介なら、言動がおかしかろうが、推理がアクロバットだろうが(笑)、正確がひねくれていようが、なぜか許せるんですけど、彼はダメだ〜。どこに違いがあるのかは、じっくり解明していきましょ(ホントに解明するのか?)。内容としては、面白かったです。貫井さんにありがちな重苦しいテーマもなく、かる〜い感じなのに、それぞれに趣向が凝らされてて、いくら吉祥院が性格悪かろうが、楽しく読めます。
『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』東亮太(角川スニーカー文庫)
↑通勤のお供(読了)。
京極夏彦推薦(「大極宮」参照)。いわゆるライトノベルですが、なかなか楽しめました。まず、設定からしてむちゃくちゃです(笑)。だから、突き抜けてるんだろうと思いきや、随所に“思惑”が見て取れて、終わりに近づくごとに、本作のクライマックスが盛り上がるのはもちろん、このシリーズの本当のテーマみたいなのも見えてくるから面白い。どこまで続くかわかりませんが、付き合っていこうかな。
『マキゾエホリックCase2:大邪神という名の記号』東亮太(角川スニーカー文庫)
↑通勤のお供(読了)。
“転校生”という記号から“受難”へと昇格したんだか降格したんだかわかりませんが、なんせ乙組に受け入れられた藍子ですが、その記号の通り、どこへ行っても、何をやっても、必ずマキゾエを食います。そうじゃなきゃストーリーは始まらないのですが(笑)。しかし、その巻き込まれ方が尋常じゃない。受難が動くところに事件が起きる、というか、受難の動くところを狙って事件が起こされる、という。あまり書いちゃうとネタバレになりかねないので、自重しますが、1年乙組には32名いますなら、それぞれが中心となるような事件が起こされるとするならば、このシリーズ、32巻まで出ますね(笑)。
『模倣密室 黒星警部と七つの密室』折原一(光文社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
鯨さんの間暮警部とか、赤川次郎の大貫警部とかに比べるとかなりまともです、黒星警部(笑)。密室事件が発生すると喜んだり、なんでも“密室”事件に仕立て上げて、部下に犯人を捕まえられるところは、なんだかかわいい(笑)。密室として考えると、ちょっと物足りないけど、キャラクターと設定の勝ちでしょうね。
◆『腐蝕の街』我孫子武丸(双葉文庫)
↑通勤のお供(読了)。
ミステリーというよりか、サスペンスかな。近未来で起こる、猟奇殺人。シリーズ1作目ということもあり、なんとなくおとなしめ。個人的にはシンバがお気に入りなので、次はもうちょっと活躍するなり、溝口とからむなり、してほしい。
◆『見えないグリーン』ジョン・スラデック(ハヤカワミステリ文庫)
↑通勤のお供(読了)。
一見、事故死に見える事件を発端に、「素人探偵会」のメンバーを襲う連続殺人事件を、私立探偵のサッカレイ・フィンが、メンバーの1人から依頼を受けて探るうち、意外な犯人があぶりだされる、と、あらすじを書くと“ありがち”な感じがしますが、これがなかなか面白い。また、タイトルがうまい。「見えないグリーン」とはよく言ったものです。ストーリーも二転三転するのですが、その転がり方が尋常ではない。思ってもない展開に、驚くやら喜ぶやら(笑)。久しぶりに洋モノで楽しませていただきました。
『影を踏まれた女』岡本綺堂(光文社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
初・岡本綺堂でした。怪談でしたが、面白かったです。ただ、謎が解かれるわけではないので、ちょっと物足りない気がしないでもない。でも、時代モノはやはり面白かったです。
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹(富士見ミステリー文庫)
↑休日のお供。
読み始めました。ずっと読んでみたかったんですよね。後味の悪い終わり方をするそうなので、よけい楽しみです(笑)。
久しぶりの更新は。
メモ程度で(笑)。
■
4月17日〜6月12日分
◆『からくり人形は五度笑う』司凍季(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
感想としては、まあ、普通(笑)。以前、「別に読まなくてもいいよ」みたいなことを言われたことがあったのですが、まあ、そんなところ(笑)。“仕掛け”としてはなかなか面白かったですが、あのお屋敷がイメージできなかったのが敗因かと(笑)。
『増加博士と目減卿』二階堂黎人(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
なんというか、ホント、一歩間違えばぶんなげ本(笑)。メタを狙っているようですが(というかメタですが)、やっぱり文章がうまくないのね(笑)。メタでそれはちょっとまずいかも…。トリックに関しては、さすがです。連作短編なのですが、それぞれ趣向を凝らしてあって、作品全体を「こういうものなのね」と思って読める人にはすすめたい(何)。
『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信(創元推理文庫)
↑通勤のお供(読了)。
『春期限定いちごタルト事件』に続く“小市民”シリーズ。ライトノベルな感覚で読めるだけでなく、それぞれ、夏のスイーツを追いながらミステリが楽しめるのもこの作品の魅力かも。2人の関係が微妙な感じになるので、どうしても、次も読まなくちゃいけない(笑)。
『黒と茶の幻想(上)(下)』恩田陸(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
さすが恩田さん。ノスタルジーの神様(?)といわれる恩田さんの真骨頂的作品ではなかろうかと。男女4人で屋久杉を見に出かける旅の様子を綴った作品。その旅の中で、学生時代の4人の思い出を回想するだけではなく、章ごとに語り手が変わることで、過去と現在のそれぞれの気持ちまでもが明らかになり、より“それぞれの人生”に深みが増す、というしくみ。それが恩田さんらしくて、むちゃくちゃいいです。
『桜宵』北森鴻(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
下北沢のビアバー「香菜里屋」を舞台に繰り広げられる、常連客の悲喜こもごも。前作『花の下にて春死なむ』ほど重い感じはないですが、料理と謎のバランスが絶妙です。
『QED竹取伝説』高田崇史(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
竹取物語に関する謎解きは、とても魅力的です。実際の事件に関する謎解きだって、面白いです。でも、2つがうまくかみ合わない(笑)。いや、ちゃんと絡んではいるのですが、どこかにムリがあるんだなぁ。飲みながら1回聞いただけの話を、何カ月も後になって、そうそう覚えているわけがないじゃないか(笑)。それとも、やっぱり奈々ちゃんは頭がいいだけなのか? 私がバカなだけなのか?(笑)。そういうところに目がつぶれるなら、充分楽しめると思うのですが、どうでしょう(笑)。
『鳴風荘事件 殺人方程式2』綾辻行人(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
私は違うところでハラハラしましたが(笑)。ここで、2人の馴れ初めとかが分かったりするんですね。魅力的な謎と、館。これは綾辻ならではですね。謎解きだって、一筋縄ではいきません。そこかしこにひねりが加えられ、しかも、重い想いに彩られすぎ。いや、だから面白いのですが。
『ミステリアス学園』鯨統一郎(光文社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
さすが鯨! これまで見たこともないような構成に加え、謎解きもきっちり本格。しかも、そこにメタな要素を加えてあって、むちゃくちゃ楽しめます。鯨さんはやっぱりこういう、連作短編がいちばん面白い気がします。
『乱歩賞作家 赤の謎』長坂秀佳ほか(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
長坂秀佳、真保裕一、川田弥一郎、新野剛志、高野和明の短編が収録されています。が、全員乱歩賞作家なのに、ミステリ色が全然薄い! そこを除けば、バラエティに富んでいて、なかなか面白くはある。でも、私が求めていたのは、本格。乱歩賞といえば、本格でしょう。なんかね、いい話ではあったんだけれども、印象は薄め。
『死体絵画』アストリット・パプロッタ(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
なんとなく、タイトルに惹かれて買いました。ハリウッドで映画化されそうな感じの作品。ストーリーというか、展開はそれなりに面白いのに、何か違う。たぶん、登場人物たちにあまり面白みがなかったのが敗因かな。もうちょっと突っ込んだり、色をつけたり、何かしようがあるだろうに。ドイツミステリー大賞受賞作ということで、ドイツの作品なのね。名前になれるのに少し時間はかかりましたが、そういえば、主人公ではない人は魅力的でした(笑)。
『悪魔のワイン』和田はつ子(角川ホラー文庫)
↑通勤のお供(読了)。
ホラー文庫だけど、全然怖くないです。ちょっとホラーっちくな描写はあるけれども、基本的にはミステリです。ワインに造詣の深い文化人類学者と、警視庁警部の組合せは面白い。ワインに造詣が深くて、料理の得意なほうが男性、というのも面白い(笑)。シリーズだったら、読んでみたいな。
『もつれっぱなし』井上夢人(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
全編会話だけ。ミステリではないけれども、最後のオチがくだらなくて好き(笑)。ほのぼのさせてくれるものもあるし、バカらしいのもあるし、そのオチに向けての物語の進め方はとても井上さんらしい。
『試験に出るパズル 千葉千波の事件日記』高田崇史(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
主人公である「ぼく」の名前当てがどこかで盛り上がっているらしいのですが、私にはまったく見当がつきません(^^;)。ヒントなさすぎ。ぼくの従兄弟であるところの千葉千波は、容姿端麗、頭脳明晰で、探偵役にあたるわけですが、それだけで終わらないところがまた面白い。本編で語られる謎はきっちり解決されるのですが、それ以外に、千波があてつけのように(笑)出すパズル問題がまた難しいのですよ。最後に解説付きで解答が載ってますが、それを見ても、全て理解できたかどうか怪しい(笑)。解説が森博嗣ってのには驚きました。
『自殺の殺人』エリザベス・フェラーズ(創元推理文庫)
↑通勤のお供(読了)。
探偵&ホームズ役の2人の関係が、ここではあまり語られませんが、それがこのシリーズの面白さではないかと思います。それは、最後にほんの少しだけ出てくるだけなのですけどね。タイトル通り、死んだ人物が自殺だったのか、他殺だったのか。その謎に終始するわけですが、二転三転どころか四転五転、いろんな人物が関わることで、さらに謎が深まります。分かってみれば、たいしたことではない気もしますが(笑)、その過程が面白いのです。
『事件現場に行こう 日本ベストミステリー選集33』日本推理作家協会編(光文社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
福井さんの「サクラ」、やっぱり面白いです! 若竹さんの「鉄格子の女」はどこかで読んだ気がする。ミステリと謳ってはいるけれども、全体的にミステリ色はかなり薄い。なので、あまり印象に残りにくい。綾辻や北村薫に至っては、短編というよりも、ショートショートっぽいし。それはそれで、魅力的ではあるのですが。
『スイス時計の謎』有栖川有栖(講談社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
収録4編のうち、2編は既読でしたが、それを差し引いても余りあるくらい「スイス時計の謎」が面白すぎました! 火村×アリスに萌えられるだけでなく、今回は、ちゃんと本格なんですってば(笑)。
『OZの迷宮 ケンタウロスの殺人』柄刀一(光文社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
なんていえばいいのかな。柄刀さんのまた違った一面を見たような気がします。この、スッパリ切れる潔さ。タイトルに込められた思いは私、解説を読んでも分かりませんでしたが(^^;)。でも、この構成。めぐりめぐる因果とでもいいましょうか。最後にほんの少しだけ遺された優しさは柄刀さん。でも、その優しさを、その直前までは一切なくしてあるのも、また柄刀さんらしいといえば、らしい。読み終わって、つい余韻にひたってしまいました。
◆『街の灯』北村薫(文春文庫)
↑通勤のお供(読了)。
昭和初期、士族出身の上流家庭であるところの花村家が舞台。あちこちにちりばめられた文学の香りは北村さんそのもの。それが時代設定とあいまって、またなんともいえない趣を醸し出します。事件の謎を解くのは、花村家のお嬢さん。ワトソン役として、女性運転手のベッキーさんが力を貸すわけですが、その取り合わせ、探偵とワトソンといってしまっては、もしかしたら、間違いなのかもしれません。この先、何かがありそうで、続くようだったら、ずーっと読んでいきたいです。
『εに誓って』森博嗣(講談社ノベルス)
↑休日のお供(読了)。
Gシリーズ第4弾ですが、ますます色濃くあの人の影が見え隠れしますね。萌絵はよく出てきますが、犀川先生はあまり活躍しません。このシリーズでは、探偵役は海月くんなのかもしれませんね。でも、今回もあまり活躍しませんが(笑)。最後で「?」がいっぱい飛びますが、蓋を開けてみれば、なんということもない(笑)。その最後のオチだけのために、ここまで引っ張ってきたのか!と、思えなくもない(笑)。
『ブレイブ・ストーリー(上)(中)(下)』宮部みゆき(角川文庫)
↑通勤のお供(読了)。
電車で何度か泣きそうになりました(^^;)。ファンタジーなのに、しっかり感情移入できてしまうのが、宮部作品。主人公のワタルが幻界で一生懸命冒険しているところが、一言でいえば、単なる成長物語なのでしょうが、宮部作品は、それだけじゃないんだもん。最後に幸せになれるところも、やっぱりいよねー。
『ZOO(1)(2)』乙一(集英社文庫)
↑通勤のお供(読了)。
乙一ワールド全開のオムニバス。映画になったようですが、見たいな。この世界をどう表現しているのか、とても気になります。でも、読んでからじゃないと分からない気もする。でもさ。何も2分冊にする必要はないんじゃないかな(笑)。
『被害者は誰?』貫井徳郎(講談社文庫)
↑通勤のお供。
読み始めたばかりです。これまでの貫井さんの作品とは、ちょっと違っていそうで、楽しみです。
なにげに奥が深そう。
以前から、京極夏彦がしきりに勧めていたので、手に取ってみました。『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』『マキゾエホリック Case2:大邪神という名の記号』東亮太(角川スニーカー文庫)です。
ライトノベルといえば、私の中ではBLと同じような位置づけで考えていたりしたのですが、意外に奥が深いよね。ノリは軽めで、読みやすいんだけど、その世界観は一種独特だし、シリーズともなると、どこに着地点を求めているのか想像できないほど長大だし。ちょっとイメージが変わりました。
さて、このシリーズですが、私立御伽学園という新学校に1クラスだけ、かーなり“特殊”なクラスがありまして、それが1年乙組。たとえば、勇者や巫女、超能力者に改造人間、ロボット乗りやらその他諸々、いろーんな人種(人じゃないモノもいたりしますが)がいたりします。そこへ、転校生・高浪藍子がやってくるところから、ストーリーが始まるのですが、しょっぱなからすんごい展開。その内容は、ここでは書けません。ぜひ、読んでください(笑)。
このシリーズは近未来の話で、そこには架空の「生徒監視委員会」なるものが存在します。クラスに1人その委員なるものがいるわけですが、1年乙組にはあまりに優秀すぎる委員長・灘英斗が在籍します。彼の特徴として、というか、やむを得ずそうせざるをえなかったわけですが、クラスの面々を“記号化”する、という癖があります。彼のノートには、クラスメイトが関わった大事件が書き記されているわけですが、電波とか、幻とか、吸血鬼とか、勇者とか、ロボットとか、記号化された人物がしでかした出来事は、簡素に完結に、ともすれば別世界の出来事のように見えたりするわけです。たとえば、
9月1日午前8時26分、勇者と怪人及び改造人間の争いをロボットにて鎮圧。
みたいな。でも、それが事実。実際に起こったこと(ま、フィクションですけど)。それがストーリーの本筋にどう関わってくるのか、見極める暇がないほど、どとーの展開で持って行かれてしまいます。そして最後に待っているのが、あまりにもあまりにもな結末。
私が年を取ったせいかもしれませんが(笑)、最近のライトノベルはとくに、読みづらいのですよね。これも読みづらい。薄いくせに、案外時間がかかりましたもの。でも、それを置いておいてもいいくらい、内容は面白い。
ファンタジーといえばファンタジーですが、ミステリとして読めなくもない。手掛かりを全て提示してくれる本格的な謎解きとまではいえなくても、アクション&サスペンスとはいってもいいでしょう。
ああ、そう。タイトルを見れば西尾維新のマネっこに見えるかもしれませんが、逆に、西尾維新が講談社ノベルスで出ているのだから、これだって、講談社ノベルスから出たっていいような気もする。似てるといえば似てるかもしれないけれども、でもやっぱり別もんでしょう。根底にはミステリ色がありますもん。
京極夏彦が力を入れて勧める理由は知りませんが(笑)、ただ、面白いことは間違いない。このシリーズは追いかけていくと思います。
『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』『マキゾエホリック Case2:大邪神という名の記号』東亮太(角川スニーカー文庫)
■
『自殺の殺人』エリザベス・フェラーズ
『悪魔のワイン』和田はつ子
『怪盗グリフィン、絶体絶命』法月倫太郎
『わが名はタフガイ ハードボイルド傑作選』ミステリー文学資料館編
『マキゾエホリック Case1:転校生という名の記号』東亮太